川崎アイeyeセンター
メールマガジン『アイeye』

第203号

2024年1月10日 発行
発行責任者 杉山雅章


目次

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1 新年のごあいさつ

 新年あけましておめでとうございます。皆様は、穏やかで良いお正月をお迎えになったと思います。しかし、そのような元旦に、能登半島で大地震発生のニュースが入り、驚かれたことと思います。被災された方々が、早く日常を取り戻せるようお祈りしたいと思います。

 幸い川崎市では、震度2から3の揺れを感じる程度でしたが、今回の災害を通して、私たちが何を学ぶかが問われているように思います。川崎市の視覚障害者施設として、当センターが皆様に何ができるか、そしてそのためにどんな準備をすべきか、今一度見直していきたいと思います。

 そして皆様にも、準備をしてほしいことがあります。視覚に障害をお持ちの方で、「災害時要援護者」の登録をしていない方は、この機会にぜひ済ませていただきたいと思います。これは、災害に自力で避難することが困難な方々の名簿を作成し、地域の支援組織にその名簿を提供し、地域において助け合いによる避難支援体制づくりを行うものです。災害時の安否確認は、まず「災害時要援護者」に登録された方を優先して行います。まだ登録されていない方は、この機会に申し込まれることをお勧めします。お住まいの区役所・地区健康福祉ステーションで登録ができますので、ご相談ください。まずは、ご自身でできることをやっておきましょう。

 今年は辰年。辰年は、龍の年とも称され、その威風堂々としたエネルギーにあやかり、更なる飛躍が期待される時節です。辰年が皆様にとって希望に満ちた、幸多き一年でありますよう心よりお祈り申し上げます。

 今年も、職員一同、心新たに業務を進めていきたいと思います。どうぞ、よろしくお願いします。【センター長 杉山】


2 ニュース&トピックス

(1) 「CDで聴くクラシック音楽講座」のご案内

第6回 シューベルト ~青春の哀感に満たされた珠玉の旋律の数々~

 モーツァルトよりもさらに短い、わずか31年の生涯の中で、数多くの美しいメロディーを紡いだ「歌曲の王」フランツ・シューベルト。しかしその旋律はどこか儚げで、青春の哀しみに満たされています。今回は、彼が残した全ての楽曲ジャンルにわたり、その芸術を堪能いたします。

演奏曲目
歌曲「アヴェ・マリア」、歌曲「春の想い」D686、歌曲「野ばら」D257、歌曲「ます」D550、ピアノ五重奏曲「ます」D667の第4楽章、歌曲「魔王」D328、歌曲集「美しき水車小屋の娘」D795より、歌曲集「冬の旅」D911より、4つの即興曲D899より第3番変ト長調、ミサ曲第6番変ホ長調D950より、ほか。
日時
2月3日(土曜日)13時30分から15時30分
定員
30名・予約制

3 スタッフルームから/「新年、その先へ」

 音訳・音声ガイド担当の橋口です。新年を祝うには、早々に辛いニュースが続きましたね。この度の震災で被災された、すべての方々に心よりお見舞い申し上げます。

 この記事を書いているのは年明けて、1月4日のこと。長き休みの反動で頭があまり働いていませんが、編集委員の澤村より催促を受けている身ですので、粛々と執筆を進めることにします。

 せっかくですので、年末年始の休みを振り返ってみることにします。まず私の年末は、毎年恒例の大掃除からはじまります。照明から窓、排水溝から洗濯機にいたるまで、ありとあらゆる洗剤を投入し、二日間にわたる総力戦が展開されました。

 長き戦を終え、心穏やかに迎えた元旦。実家に顔を出しました。母と妹の手料理があたたかく出迎えてくれましたが、母はお節料理で妹はフランス料理だったため、我が家のテーブルは和洋折衷と呼ぶにはほど遠い奇妙な様相を呈していました。協力してひとつのものを作るという選択肢はなかったのでしょうか。ただ、妹の一品にあった「タイのノルマンディー風」が、伝説の家政婦と呼ばれるタサン志麻さんが考案したものだったということはひとつの学びになりました。事件現場を目撃したり、伝説になったり、家政婦の多様性は実に目覚ましく進んでいるようです。

 自宅に戻ってからの数日間は、新NISAに触れてみたり、大掃除の際に過去にお世話になった職場を退職する時に贈られた懐かしい品々を見つけたので、それを眺めたりしていました。初めて働いた出版社では寄せ書きを、次に働いた職場では皆からのメッセージが書き込まれたTシャツを、前職ではアルバムを、本当にさまざまなものをいただきました。大切にしている思い出たちです。

 余談ながらTシャツの贈り物には、セットで日本酒も添えられていました。旭酒造さんによる日本を代表するお酒「獺祭」(だっさい)、その高級ラインナップである「磨き その先へ」です。「その先へ」という響きがとても好きで、仕事で行き詰った時などに寄せ書きと一緒に思い出しては、自分を奮い立たせています。昨年よりも今年、過去よりも未来、いつでも目指すはその先へ。私もいつか誰かが新しい何かに挑戦する時は、こういう贈り物をしたいものです。


4 カワサキ・用具の窓/「『なでなでねこちゃん』の中田敦さんを訪ねて」

 歩行訓練士の澤村です。私が日本点字図書館の用具事業課で勤務していた10年ほど前、トレンドマスター株式会社の中田敦さんが営業で来館されました。視覚障害関係との繋がりはなかったそうですが、「なでなでねこちゃん」のこだわりと障害当事者の方が笑顔になってほしいという願いを丁寧にご説明いただいたことを覚えています。現在も「なでなでねこちゃん」は日点の人気商品です。先日、私は中原区にある中田さんの会社を訪ね、10年ぶりにお会いしました。

 あらためて商品を紹介しますと、「なでなでねこちゃん」「なでなでワンちゃん」は、猫や犬のぬいぐるみで、撫でると本物の鳴き声で鳴くリアルなコミュニケーションロボットです。触る場所や「撫でる」と「触る」の違いを感知し、うれしさや喜び、甘えなどの鳴き声を変えることもできます。触り心地もよく、自宅でペットを飼えない方にも本物のペットと暮らしているような感覚をもたらしてくれます。川崎市が認証する「かわさき基準」福祉製品であり、とくに認知症の方の心理的安定やコミュニケーション促進への効果が評価されています。川崎市から100歳の方への百寿お祝いカタログギフトの一つに選ばれるなど、川崎市に根ざした会社といえます。

 社長の中田さんは、生まれも育ちも中原区で、大学卒業後は某おもちゃメーカーに勤務されていました。今から13年前に退社、そして独立。試行錯誤の中で、当初は考えていなかった高齢者の福祉おもちゃニーズにたどり着きました。ご自身の母親の介護経験などから、失った身体の機能を取り戻すリハビリだけではなく、心のケアも同じぐらい大切なのに、それが不十分であることを痛感されたそうです。おもちゃメーカー出身の自分が福祉の世界に飛び込むのは勇気がいったそうですが、変化を起こそうとするチャレンジ精神と、心のケアへの思いが今日まで貫かれていると感じました。ぬいぐるみを一体ずつ手作業で丁寧に仕上げる中国の工場との取引などは、会社員時代に培ったネットワークあってこそ。しなやかな突破力、何より温かい眼差しが印象的な中田さんです。日本では、高齢者のぬいぐるみの潜在的ニーズはこれからだそうで、昔飼っていたペットを思い出し笑顔になるご高齢の方が1人でも増えるよう願って、お仕事をされています。

 センターでも「なでなでワンちゃん」シリーズの「秋田犬ハチEX」(税込価格19,800円)が用具ルームのテーブルに座って皆様のご来所をお待ちしています。ぜひふかふかの秋田犬を触って可愛がっていただきたいと思います。


5 編集後記

 このたびの地震で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。全国視覚障害者情報提供施設協会では、視覚障害の情報窓口サイト「シカクの窓」ホームページを年末に公開し、このたびの災害も最新の情報がアップされています。

 また、日本ロービジョン学会のホームページでも、見え方に不自由を感じていらっしゃる方とご家族に向けた災害対応リーフレットを紹介しています。

 天災を防ぐことはできませんが、備えることはできます。一度、確認しておかれることをおすすめします。

 今年も読者の皆様のお声に耳を傾けながら、お役に立てるほっこりあたたかいメルマガを目指してまいります。

メールマガジン『アイeye』 編集委員 澤村実希


発行:川崎市視覚障害者情報文化センター(川崎アイeyeセンター)
住所:郵便番号 210‐0026  川崎市川崎区堤根34番地15
電話:044-222-1611
ファクス :044-222-8105
メールアドレス:kawasaki-icc@kawasaki-icc.jp
公式ウェブサイト:http://www.kawasaki-icc.jp/


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